本堂や位牌堂、書院といった寺の木造建築群に呼応する、木造建築が持つヒューマンスケールが親しみと愛着をもたらします

常林寺白瀧観音堂

誰でも気軽に立ち寄れる 源兵衛川を背にした観音堂

白瀧観音堂の新築工事は、常林寺施設全体の整備計画における主要事業でした。これまでの観音堂は、
小さく、人も立ち寄りにくく、昭和30年ごろの鉄筋コンクリート造で構造的にも問題を抱えていました。
新たな白瀧観音堂は、新たなホール機能を新設して、誰でも気軽に立ち寄れ親しまれていた本寺を、
一層愛着のある「開かれたお寺」になるよう計画しました。配置は以前と同じですが、1階としました。
本寺の入口部分にあり、大きな庇と大開口の出入口の先に源兵衛川を背にして白瀧観世音菩薩を祀りまし
た。3間×1間半の内陣と3間×3間半の外陣をぐるりと土間で囲う構成で、土足で観音様を回ることが
できます。檀信徒の方の利用にかぎらず、地域に開かれたお寺となる様、いろいろな活用を想定しました。
法要や法事の後の会食はもちろんのこと、ライブスペースやギャラリースペースとしても機能するよう、
あえて単純な構成として、柔軟に活用でききる多目的なホールになるようにしました。源兵衛川を背にし
た観音様を囲んで、人が集い、賑わい、心安らぐ場所になることを心掛けました。
2階は、書院2階にあった手狭になっていた庫裏機能の一部を持ってきています。1階は堅牢な
鉄筋コンクリート造としましたが、庫裏は住宅なので木造とし、木造の尺間のスケールで構成するように
しました。耐火建築物ですが、延焼の恐れのある部分を外れる場所に木製の建具を使用し、また漆喰や
無垢の木と言った自然素材を使用しながら、着慣れた普段着のような住いになるようしました。
常林寺のきめ細やかな木造建築群に対して決して大味にならないよう、
細部まで手の行き届いたヒューマンスケールで心地よい場所をつくり、
親しみと愛着ある常林寺の景観になるようにしました。

静岡県三島市
混構造(鉄筋コンクリート+木造)2階
2010.6完成
施工:大同工業㈱
写真:アトリエR 畑亮

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